まーさん超訳『竹取物語』~阿部の右大臣と火鼠の皮衣②~
先日、1月29日は、息子の誕生日でした。
毎年この日は、なぜだか分かりませんがまーさん、
息子の生まれた時間(午前4時20分)に目が覚めます。
今年もやはり、4時過ぎごろに目が覚めました。
そして、彼が生まれた時のことを回想いたしました。
とんでもない難産で、生まれるまでに37時間もかかりました(汗)
促進剤やら何やら、色々やりましたが結局生まれず、
最後は看護師さんがまーさんのお腹の上に乗っかって
上からぎゅうぎゅうと押し(驚)
やっとのことで生まれたという・・・(@_@;)
この日の夕食は、息子の好きな料理と、夫が買ってきたケーキでお祝いしました。

息子が差したローソクは、あちこち向いて倒れそう・・(^^ゞ
子供は、あっという間に大きくなってしまうものですね(笑)
まーさんの両親もまた、「子供はあっという間に…」
などと思いつつ誕生日を祝っていたのかなあと、ふと考えたりもしました――
◇
まーさん超訳『竹取物語』~阿部の右大臣と火鼠の皮衣②~
《あらすじ》
阿部の右大臣は、皮衣を持ってかぐや姫の家の門までやって来た。竹取の翁が邸から出て来てそれを受け取り、かぐや姫に見せる。かぐや姫が言うことには、
「立派な皮のようですね。しかし、これが絶対に本物の皮だという確証はどこにもありません。」
竹取の翁が答えて言うことには、
「とにもかくにも、まず屋敷の中にお招き申しましょう。この世に見られないような素晴らしい皮衣ですので、これを本物と思いなさいませ。大臣をあんまりお苦しめなさいますな。」
と言って、右大臣をお呼びし、お座りになるよう促した。
このようにお呼びしお座りいただいたからには、「今度こそ、結婚することになるだろう」と、嫗も心の中で思っている。翁は常々、かぐや姫が独身であることを嘆かわしく思っていたので、立派な人と結婚させようと考えを巡らせていた。しかし、姫はどうしても「いやです」というので、無理強いすることも出来ずにいた。だから今回こそはと、期待する思いが強いのである。かぐや姫が翁に言った。
「この皮衣が火にくべても焼けなければ、本物の火鼠の皮衣だろうと思い、右大臣の言うとおりにいたしましょう。あなた様は『この世には見られない物なので、これをこそ本物と思いましょう』とおっしゃいます。しかしやはり、わたくしは、これを焼いて真実を知りたいと思うのです。」
翁は、
「それも、もっともなことですなあ。」
と言って、大臣に、
「姫がこのように申しております。」
と伝える。大臣は答えて言う。
「この皮は、唐土にもなかったものを、やっとのことで探し求めて手に入れたのです。何を疑うことがありましょうや。」
翁は、
「そうは申しますが、ともかく早く焼いてご覧になって下さい。」
と言うので火の中にくべて焼かせたところ、何とめらめらと焼けてしまったのである。
「焼けてしまうとは・・・つまりこれは偽物の皮だったのだ・・・」
と翁は言う。大臣はこれをご覧になり、草の葉の色のように真っ青になって座っていらっしゃる。一方かぐや姫は、
「ああ、嬉しいこと。」
と喜びつつ座っている。そして、先ほど大臣がお詠みになった歌の返歌を、皮衣が入れてあった箱に入れて返した。
名残りなく燃ゆと知りせば皮衣思ひのほかにおきて見ましを
≪影も形もなく燃えてしまうと分かっていたなら、
この皮衣を問題にもせず見ていましたのに――
火で焼いたりせず火の外に置いて見ていましたのに――≫
と書いてあった。大臣は、どうすることも出来ず、
そのままお帰りになったということだ。
世の人々は、
「阿部の大臣は、火鼠の皮衣を持っていらして、かぐや姫とご結婚なさるとか。
ここにもう、いらっしゃるのですか。」
などと尋ねる。お仕えしている人が言うには、
「皮は、火にくべて焼いたところ、めらめらと焼けてしまったので、
かぐや姫は、大臣とは結婚なさらなかったのです。」
と言ったので、これを聞いてから、遂げることが出来なかった事柄を、
「阿部なし」ならぬ「あへなし(手の打ちようもなくがっかり)」
と言うようになったとか。
次回に続きます。
参考文献
*『日本古典文学全集8 竹取物語 伊勢物語 大和物語 平中物語』(小学館)
*『岩波古語辞典』(大野晋 佐竹昭広 前田金五郎 編)

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毎年この日は、なぜだか分かりませんがまーさん、
息子の生まれた時間(午前4時20分)に目が覚めます。
今年もやはり、4時過ぎごろに目が覚めました。
そして、彼が生まれた時のことを回想いたしました。
とんでもない難産で、生まれるまでに37時間もかかりました(汗)
促進剤やら何やら、色々やりましたが結局生まれず、
最後は看護師さんがまーさんのお腹の上に乗っかって
上からぎゅうぎゅうと押し(驚)
やっとのことで生まれたという・・・(@_@;)
この日の夕食は、息子の好きな料理と、夫が買ってきたケーキでお祝いしました。

息子が差したローソクは、あちこち向いて倒れそう・・(^^ゞ
子供は、あっという間に大きくなってしまうものですね(笑)
まーさんの両親もまた、「子供はあっという間に…」
などと思いつつ誕生日を祝っていたのかなあと、ふと考えたりもしました――
◇
まーさん超訳『竹取物語』~阿部の右大臣と火鼠の皮衣②~
《あらすじ》
阿部の右大臣は、皮衣を持ってかぐや姫の家の門までやって来た。竹取の翁が邸から出て来てそれを受け取り、かぐや姫に見せる。かぐや姫が言うことには、
「立派な皮のようですね。しかし、これが絶対に本物の皮だという確証はどこにもありません。」
竹取の翁が答えて言うことには、
「とにもかくにも、まず屋敷の中にお招き申しましょう。この世に見られないような素晴らしい皮衣ですので、これを本物と思いなさいませ。大臣をあんまりお苦しめなさいますな。」
と言って、右大臣をお呼びし、お座りになるよう促した。
このようにお呼びしお座りいただいたからには、「今度こそ、結婚することになるだろう」と、嫗も心の中で思っている。翁は常々、かぐや姫が独身であることを嘆かわしく思っていたので、立派な人と結婚させようと考えを巡らせていた。しかし、姫はどうしても「いやです」というので、無理強いすることも出来ずにいた。だから今回こそはと、期待する思いが強いのである。かぐや姫が翁に言った。
「この皮衣が火にくべても焼けなければ、本物の火鼠の皮衣だろうと思い、右大臣の言うとおりにいたしましょう。あなた様は『この世には見られない物なので、これをこそ本物と思いましょう』とおっしゃいます。しかしやはり、わたくしは、これを焼いて真実を知りたいと思うのです。」
翁は、
「それも、もっともなことですなあ。」
と言って、大臣に、
「姫がこのように申しております。」
と伝える。大臣は答えて言う。
「この皮は、唐土にもなかったものを、やっとのことで探し求めて手に入れたのです。何を疑うことがありましょうや。」
翁は、
「そうは申しますが、ともかく早く焼いてご覧になって下さい。」
と言うので火の中にくべて焼かせたところ、何とめらめらと焼けてしまったのである。
「焼けてしまうとは・・・つまりこれは偽物の皮だったのだ・・・」
と翁は言う。大臣はこれをご覧になり、草の葉の色のように真っ青になって座っていらっしゃる。一方かぐや姫は、
「ああ、嬉しいこと。」
と喜びつつ座っている。そして、先ほど大臣がお詠みになった歌の返歌を、皮衣が入れてあった箱に入れて返した。
名残りなく燃ゆと知りせば皮衣思ひのほかにおきて見ましを
≪影も形もなく燃えてしまうと分かっていたなら、
この皮衣を問題にもせず見ていましたのに――
火で焼いたりせず火の外に置いて見ていましたのに――≫
と書いてあった。大臣は、どうすることも出来ず、
そのままお帰りになったということだ。
世の人々は、
「阿部の大臣は、火鼠の皮衣を持っていらして、かぐや姫とご結婚なさるとか。
ここにもう、いらっしゃるのですか。」
などと尋ねる。お仕えしている人が言うには、
「皮は、火にくべて焼いたところ、めらめらと焼けてしまったので、
かぐや姫は、大臣とは結婚なさらなかったのです。」
と言ったので、これを聞いてから、遂げることが出来なかった事柄を、
「阿部なし」ならぬ「あへなし(手の打ちようもなくがっかり)」
と言うようになったとか。
次回に続きます。
参考文献
*『日本古典文学全集8 竹取物語 伊勢物語 大和物語 平中物語』(小学館)
*『岩波古語辞典』(大野晋 佐竹昭広 前田金五郎 編)

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