雛祭り~泉鏡花、そしてお祝い膳~
今年に入ってから、ハプニング続きのまーさん家族。
病気に怪我に交通事故・・・
家族の誰かが、常に普通でない状態に置かれているという・・・
これはいったい何の呪いなのか・・・(@_@)
――と言いつつ、まーさんはそれ程へこたれていません。
以前でしたら
「あ゛~~~何で私ばっかりこんな目に遭うのか」
などと、きっと考えていたと思いますが、
最近では、どんなことも深刻に考えない、いやむしろそれを面白がる、
という高等技術を徐々に身につけつつあります(笑)
とはいえ、ハプニングは何といっても疲れるもの。
よって毎日の精神疲労が半端なく、
とうとう2月はブログの更新が2回しかできませんでした(*_*;(*_*;
3月は年度末ということで、またもや忙しい日々となりますが(汗)
楽しい記事の更新が“楽しく”できますよう、
これ以上のハプニングに見舞われないことを切に願っている次第です(笑)
◇
ところで。
本日は桃の節句・雛祭りですね。
我が家には娘がおりませんので、
華やかな雛祭りのお祝いとは、毎年無縁の状態です(寂)
しかし、ワタクシも一応女子(婦人?)ですので、
少しばかり雛祭りの気分を味わいたい、ということで、
今日はそれらしいお料理で夕食を彩ってみたいと考えています。
さて。
雛祭りの季節になると必ず思い出すのが、
まーさんの大好きな泉鏡花の短編『雛がたり』です。
文庫本でわずか9ページの小品。
『枕草子』に『膝栗毛』、古典をはらはらと散りばめつつ、きらめくような美しい文章から立ち上るのは、目の前の現実にひっそりと影のように潜む幻想の世界――
三月半ば、静岡の町に旅した主人公は、立ち寄った一軒の餅屋の奥座敷で、不思議な光景を目にします。
遠くで、内井戸の水の音が水底へ響いてポタン、と鳴る。
不思議に風が留(や)んで寂寞(ひっそり)した。
見上げた破風口は峠ほど高し、とぼんと野原へ出たような気がして、
縁に添いつつ中土間を、囲炉裏の前を向こうへ通ると、
桃桜溌(ももさくらばつ)と輝くばかり、五壇一面の緋毛氈、
やがて四畳半を充満(いっぱい)に雛、人形の数々。
ふとその飾った形も姿も、昔の故郷(ふるさと)の雛によく肖た、
と思うと、どの顔も、それよりは蒼白くて、
衣も冠も古雛の、丈が二倍ほど大きかった。
薄暗い白昼(まひる)の影が一つ一つに皆映る。
背後(うしろ)の古襖が半ば開いて、奥にも一つ見える小座敷に、
また五壇の雛がある。不思議や、蒔絵の車、雛たちも、
それこそ寸分違わない古郷(ふるさと)のそれに似た、と思わず伸上がりながら、
ふと心づくと、前の雛壇におわするのが、いずれも尋常(ただ)の形でない。
雛は両方さしむかい、官女たちは、横顔やら、俯向いたの。
お囃子はぐるり、と寄って、鼓の調糸(しらべ)を緊(し)めたり、解いたり、
御殿火鉢も楽屋の光景。
私は吃驚(びっくり)して飛退いた。
敷居の外の、苔の生えた内井戸には、いま汲んだような釣瓶の雫、
――背戸は桃もただ枝の中に、真黄色に咲いたのは連翹の花であった。
帰りがけに密(そっ)と通ると、何事もない。襖の奥に雛はなくて、
前の壇のも、烏帽子一つ位置のかわったのは見えなかった。
――この時に慄然(ぞっ)とした。
本当は、全文引用したいほどのうっとりする文章。
特に、雛祭りの細々した料理や雛壇の様子を描いたくだりは圧巻です。
ひっそりした奥座敷で見かけた、お雛様の異形の姿。
井戸の雫、連翹の花。圧倒的な静寂の中で垣間見る、一瞬の魔の世界。これは果たして気のせいか、それとも現実の中に潜む異空間がふと立ち現れたか――
鏡花短編集。機会があればぜひ、お手に取ってパラパラと眺めて見て下さい。きっとその“見た目にも美しい独特の文章”に、暫し現実を忘れることでしょう。
◇
さて、話は変わりまして。
一挙にリアルなこの世の出来事に立ち戻ります(笑)
本日の我が家の夕食でございます。

雛祭りの定番となりつつある”ちらし寿司”
冷蔵庫にあった材料でアレンジ。

ミニサラダも添えてさっぱりと。

煮物。彩りに、茹でたオクラをそのまま豪快に(笑)

ハマグリならぬ、アサリのお吸い物。アオサが良い香りです。

夕方、駅前のお店にて購入。”雛祭りケーキバイキング”
🌸ミルフィーユ・チーズケーキ・モンブラン・フルーツケーキ🌸
菱餅、雛あられの代わりに、こんなお菓子で雛祭り気分を味わいます。
ここに白酒があればなおよいのでしょうが、今日は息子も楽しめるように
白桃ジュースを用意しました(笑)
シャンパングラスに入れて、特別感を演出します☆
◇
こんなわけで、女子のいない我が家でも、”雛祭り”もどきを楽しみました。
来年も再来年も、三月三日はきっとこんな風に過ぎていくのだろうなあと、
漠然と思ったりします。
そしていつかまーさんも、泉鏡花の『雛がたり』のような、
美しくも儚い無音の幻想を
旅先の奥座敷にて垣間見てみたいと思うのであります――
参考図書:『鏡花短編集』(泉鏡花著 岩波文庫)
雛人形の危うい美しさに、いつも心奪われます。
各地に残る雛祭りの様々な風習もまた、美しいですね。
↓↓❀❀❀↓↓

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――と言いつつ、まーさんはそれ程へこたれていません。
以前でしたら
「あ゛~~~何で私ばっかりこんな目に遭うのか」
などと、きっと考えていたと思いますが、
最近では、どんなことも深刻に考えない、いやむしろそれを面白がる、
という高等技術を徐々に身につけつつあります(笑)
とはいえ、ハプニングは何といっても疲れるもの。
よって毎日の精神疲労が半端なく、
とうとう2月はブログの更新が2回しかできませんでした(*_*;(*_*;
3月は年度末ということで、またもや忙しい日々となりますが(汗)
楽しい記事の更新が“楽しく”できますよう、
これ以上のハプニングに見舞われないことを切に願っている次第です(笑)
◇
ところで。
本日は桃の節句・雛祭りですね。
我が家には娘がおりませんので、
華やかな雛祭りのお祝いとは、毎年無縁の状態です(寂)
しかし、ワタクシも一応女子(婦人?)ですので、
少しばかり雛祭りの気分を味わいたい、ということで、
今日はそれらしいお料理で夕食を彩ってみたいと考えています。
さて。
雛祭りの季節になると必ず思い出すのが、
まーさんの大好きな泉鏡花の短編『雛がたり』です。
![]() | 鏡花短篇集 (岩波文庫) (1987/09/16) 泉 鏡花 商品詳細を見る |
文庫本でわずか9ページの小品。
『枕草子』に『膝栗毛』、古典をはらはらと散りばめつつ、きらめくような美しい文章から立ち上るのは、目の前の現実にひっそりと影のように潜む幻想の世界――
三月半ば、静岡の町に旅した主人公は、立ち寄った一軒の餅屋の奥座敷で、不思議な光景を目にします。
遠くで、内井戸の水の音が水底へ響いてポタン、と鳴る。
不思議に風が留(や)んで寂寞(ひっそり)した。
見上げた破風口は峠ほど高し、とぼんと野原へ出たような気がして、
縁に添いつつ中土間を、囲炉裏の前を向こうへ通ると、
桃桜溌(ももさくらばつ)と輝くばかり、五壇一面の緋毛氈、
やがて四畳半を充満(いっぱい)に雛、人形の数々。
ふとその飾った形も姿も、昔の故郷(ふるさと)の雛によく肖た、
と思うと、どの顔も、それよりは蒼白くて、
衣も冠も古雛の、丈が二倍ほど大きかった。
薄暗い白昼(まひる)の影が一つ一つに皆映る。
背後(うしろ)の古襖が半ば開いて、奥にも一つ見える小座敷に、
また五壇の雛がある。不思議や、蒔絵の車、雛たちも、
それこそ寸分違わない古郷(ふるさと)のそれに似た、と思わず伸上がりながら、
ふと心づくと、前の雛壇におわするのが、いずれも尋常(ただ)の形でない。
雛は両方さしむかい、官女たちは、横顔やら、俯向いたの。
お囃子はぐるり、と寄って、鼓の調糸(しらべ)を緊(し)めたり、解いたり、
御殿火鉢も楽屋の光景。
私は吃驚(びっくり)して飛退いた。
敷居の外の、苔の生えた内井戸には、いま汲んだような釣瓶の雫、
――背戸は桃もただ枝の中に、真黄色に咲いたのは連翹の花であった。
帰りがけに密(そっ)と通ると、何事もない。襖の奥に雛はなくて、
前の壇のも、烏帽子一つ位置のかわったのは見えなかった。
――この時に慄然(ぞっ)とした。
本当は、全文引用したいほどのうっとりする文章。
特に、雛祭りの細々した料理や雛壇の様子を描いたくだりは圧巻です。
ひっそりした奥座敷で見かけた、お雛様の異形の姿。
井戸の雫、連翹の花。圧倒的な静寂の中で垣間見る、一瞬の魔の世界。これは果たして気のせいか、それとも現実の中に潜む異空間がふと立ち現れたか――
鏡花短編集。機会があればぜひ、お手に取ってパラパラと眺めて見て下さい。きっとその“見た目にも美しい独特の文章”に、暫し現実を忘れることでしょう。
◇
さて、話は変わりまして。
一挙にリアルなこの世の出来事に立ち戻ります(笑)
本日の我が家の夕食でございます。

雛祭りの定番となりつつある”ちらし寿司”
冷蔵庫にあった材料でアレンジ。

ミニサラダも添えてさっぱりと。

煮物。彩りに、茹でたオクラをそのまま豪快に(笑)

ハマグリならぬ、アサリのお吸い物。アオサが良い香りです。

夕方、駅前のお店にて購入。”雛祭りケーキバイキング”
🌸ミルフィーユ・チーズケーキ・モンブラン・フルーツケーキ🌸
菱餅、雛あられの代わりに、こんなお菓子で雛祭り気分を味わいます。
ここに白酒があればなおよいのでしょうが、今日は息子も楽しめるように
白桃ジュースを用意しました(笑)
シャンパングラスに入れて、特別感を演出します☆
◇
こんなわけで、女子のいない我が家でも、”雛祭り”もどきを楽しみました。
来年も再来年も、三月三日はきっとこんな風に過ぎていくのだろうなあと、
漠然と思ったりします。
そしていつかまーさんも、泉鏡花の『雛がたり』のような、
美しくも儚い無音の幻想を
旅先の奥座敷にて垣間見てみたいと思うのであります――
参考図書:『鏡花短編集』(泉鏡花著 岩波文庫)
雛人形の危うい美しさに、いつも心奪われます。
各地に残る雛祭りの様々な風習もまた、美しいですね。
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