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百合と蛙――雨の日に思うこと――

昨日は、七十二候でいうところの
「半夏生(はんげしょうず)」でした。
”カラズビシャク(半夏)が生え始める頃”
なのだそうです。
(二十四節気・七十二候カレンダーより)

「半夏生」の文字を見ると、
まーさんは夏の訪れを感じます――




        ◇





ところで。

毎日雨の日が続いておりますが、皆さま
「雨」と聞いて連想するものはいったい何でしょう?

曇天、紫陽花、傘、かたつむり・・・
いろいろあるかとは思います。が、
まーさんの脳裏に真っ先に浮かぶのは、
ちょっと変わっております。

「百合の香り」です。

これは、
夏目漱石の『それから』を読んで以来のこと。
この辺りのことについて書いた過去記事を、久々に思い出しましたので
懐かしさと共にちょっと抜粋してみたいと思います。

IMG_1857_convert_20150703152811.jpg






**********************************






雨の日の百合が好きです。
細く冷たい香りが、スウッと部屋を漂います。



日本を代表する作家・夏目漱石の『それから』。
“雨の日の百合”で思い出す本です。
代助と三千代の悲劇的な恋愛。二人を繋ぐ象徴としての百合の花――

ぼんやりと惹かれあいながらも結ばれなかった二人。
人妻となった三千代は数年後、百合の花を持って代助の元を訪れます。
(百合はかつて、代助が彼女とその兄の家に持参した思い出の花です。)
雨模様の中、立ちのぼる百合の強い香。それに耐え切れなくなる代助。
彼はこの花を、鈴蘭の入った大鉢に無造作に生けます。
三千代の中に残る代助への思い。代助が改めて認識した三千代への思い。
二人の心の微妙なズレは、百合に対する二人の認識の違いに現れています。

終盤、ついに代助が「僕の存在には貴方が必要だ」と三千代に話す場面。
彼は、雨の中買い求めた百合を部屋中に生け、三千代を呼び寄せます。
「兄さんと貴方と清水町にいた時分の事を思い出そうと思って、
なるべく沢山買ってきました。」
三千代に全てを打ち明けた晩、代助は百合を自分の立つ夜の庭に撒き散らします。




百合が好きなまーさんは、いつもリビングにこの花を活けています。
特に今は、雨の匂いと共に百合の香りが際立ちます。
そして、漱石の『それから』を必ず思い出します。






*********************************






今日も我が家のリビングには百合の花が活けられています。
――上の写真がそうです――
近くを通るたびに、
また窓からの風が部屋を通り抜けるたびに
甘く鋭い香りが鼻をかすめます。

雨と百合――
やはりワタクシにとっては、切り離すことのできない
不思議に心惹かれる取り合わせなのです。




        ◇




そして。
雨という言葉からまーさんが連想するもの、もう一つ。
「蛙」です^^

子供のころ、梅雨時の田んぼからは
蛙の鳴き声が盛大に聞こえてきました。

降り始めた雨に、一斉に鳴き始める蛙たち。
そして道路を横切る可愛らしい雨蛙の姿に
心躍らせた記憶が今もよみがえります。

まーさんは蛙がとても好き。
本物を触るのには若干の抵抗があるものの(汗)
あの何とも言えない愛嬌に惹かれて
蛙グッズ、ついたくさん買ってしまいます(笑)

IMG_1862_convert_20150703160143.jpg
他にもいっぱいあるのです(*'▽')

IMG_1856_convert_20150703152846.jpg
ちょっとピンぼけですが・・・
こちらは本物の蛙、
ウチの蛙くんです(まだシッポがついている頃の写真)

オタマジャクシから育てた子が、とうとう蛙に変身!!

昨日、川辺の草むらに放してきました。
元気に暮らすんだよ~~(T_T)/~~~





        ◇




午後小降りになっていた雨が
今また大粒の雨に変わってまいりました。

水の匂い、仄暗い静けさ・・・
梅雨の季節ならではの風情を
今しばらく味わいたいと思います。





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Re: No title

鍵コメ様

ご連絡ありがとうございます。
しばらくご無沙汰しており、失礼いたしました。

ご連絡の件、とても残念です↘↘
宜しければ、パスワード教えていただけますか?

ご紹介のブログにもお邪魔させていただきたいのですが
検索すれば出て来ますか?

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Re: No title

鍵コメ様

ありがとうございました。
いつかご連絡頂けることをお待ちしております。

こちらこそ、今後ともよろしくお願い致します。

No title

雨は否定的にとられることもありますが、
とても、詩的なものでもありますよね。

「巷に雨が降るごとく、わが心にも雨がふる」なあんて。

野口雨情とか、ネーミングがうまいなぁと思います。
あと、教授こと、坂本龍一さんのお嬢さんの名前が「美雨」
なんて美しい名前でしょうか。
字面がまず美しいし、
さらにμ(ミュー)と掛け合わせているんだろうと思います。

サスガ。

まあ、スーパーにお買い物行くときは、雨が降っていると
自転車使えないから「チっ」となるのですが、

雨に濡れているあじさい、などをみると。
雨もまた、なかなか風情のあるものですね。

わたくしが一番好きな、雨のシーンは

『ポーの一族』のエドガーとメリーベルが
新しい海辺の土地に移ってきて
屋敷の窓から、海に降る雨をふたりでじっと眺めているシーン。

メリーベルが
「ふしぎね。ただ、雨が海にふっているだけだというのに、
 心が惹かれる」

それをエドガーが黙って頷くところです。
(細部は間違っているかもしれません)

二人のいいようのない孤独が伝わってきます。


百合の香りも大好きです。
ちょっとクールで重い香りですよね。

美千代はたしか、その水を飲み干したんじゃなかったでしたっけ?官能的なシーンですね。

百合はどっちかというと、鉄砲百合のようにうつむいている形状のものがすきなのです。

バルザックの『谷間のゆり」のヒロインのアンリエットにも通じるものがあります。

No title

こんばんは。
ワタクシも蛙、結構好きです。小さな雨蛙なら、多分居間でも捕まえられると思います。今日偶々見てたテレビで、織田信長が愛用してた蛙の形をした香炉を見ましたが、こうして昔から身の回りの工芸品のモチーフになったり、鳥獣戯画で擬人化してたりと、とても親しまれてきたのは、愛敬があって可愛らしいと思う人が多かったからかもしれませんね。現代でも、ケロケロケロッピーとかありましたし。

カエル繋がり

まーさん様

コラムに面白い記事が載っていました。
「高松市の男性が黄金色のオタマジャクシ3匹発見」
こちらはウシガエルのオタマジャクシだったそうですが、この報道を知った環境省の担当者が、ウシガエルは、特定外来生物なので運搬や保管、飼育は違法と伝えてきたそうです。

私もあの「ウシガエル」は、「外来種で飼育は違法」、知りませんでした。
食性は貪欲で日本固有の昆虫などを食べてしまう為生態系に被害を及ぼしているそうです。

発見した男性も指摘されて初めて法律を知ったそうですが、その時には、テレビ局からの取材が殺到していて、断る作業で大変だったそうです。
「黄金色」で何か良いことありそうと思っていただけに大変残念だった様子です。

結局、そのオタマジャクシは、ウシガエルの幼生と断定され、環境省職員の求めに応じて手渡されたそうです。

夢の無い話ですが、無知は、罪なのかもしれませんね。

Re: No title

sadafusa様

「巷に雨の降るごとく・・・」
ヴェルレーヌですね~~^^
堀口大学の訳の素晴らしさも、また印象的です。

ワタクシも雨の日の外出はイヤです。
買い物に出かけようと思っても自転車に乗れない・・・
同じです!!ここで「チッ」となってしまいます(笑)

しかし雨というものは仰っていただいた通り
とても詩的ですね。
坂本龍一さん&矢野顕子さん(お二人とも大ファンです)は
なぜお子さんに「美雨」という名前を付けたのでしょう?
ホントに美しい名前ですね。
「μ」と掛け合わせているとのご指摘は
なるほど~と思いました!

『ポーの一族』遥か昔に読みましたが、
名作中の名作ですね。
エドガーとメリーベルのそんなシーンがあったことは
全く忘れていましたが
何という切なさでしょう・・
永遠に生きることの孤独を痛切に感じます。

『それから』の百合のシーン、
そうです、三千代は鈴蘭の活けてあった花瓶の水を
代助の使ったコップに汲んで飲んでしまうのです。
鈴蘭て毒のある花ですよね。
その水を飲んでしまうという・・・
確かに、すごく意味深な官能的なシーンですね。

――やっぱり雨と百合のとりあわせ、ワタクシは好きです。




Re: No title

yuccalina様

蛙、お好きですか~~^^
何だか嬉しいデス。

織田信長の愛用していた香炉、ワタクシもテレビで見ました!
ちょっととぼけた感じというか、面白い雰囲気がある香炉でしたね。
信長もそんなところが気に入っていたのでしょうか、
意外と愛嬌のある人だったのかもしれないと思いました。

「けろけろけろっぴー」!!
息子が小さい時に使っていたコップがそれでした。
今でもとっておいてあります(笑)
昔「けろっこデメタン」っていうアニメもありましたよね~~

Re: カエル繋がり

ぷりしら店長様

え、ウシガエルって外来種なんですか?!
全然知りませんでした・・(゚Д゚;)

ウシガエルのオタマジャクシってすべて黄金色なのでしょうか。
そんなオタマ、見たことありませんが
用水路などでモウモウ鳴いている親(ウシガエル)の声を聞くので
きっと姿は見えねど、どこかにいるのかもしれませんね。

特定外来種の飼育は違法――
多くの人はそういった法律を知らない、
もしくは気にしていないのではないかと思います。

天然記念物や採取禁止の動植物についても
もう少し周知徹底する必要があるようにも感じました。
プロフィール

まーさん

Author:まーさん
息子と夫と私、考え方も行動もてんでバラバラな3人で暮らしています(笑)でも仲良しです。
音楽、映画、読書が好き。芸術鑑賞、外国語、旅行も好きです。ゆ~る・じゃぱんでは、日本大好きまーさんが暮らしのに漂う日本の香り・日本文化をゆる~く綴っていきます。

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