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子供にもわかる超訳!『雨月物語~青頭巾~』その2

さて、昨日の続きです。
一体どうして下男たちは大さわぎしたのか・・・?
はじまりです。


  
 うげつものがたり      まきのご
 『雨月物語』  巻之五

 青頭巾(あおずきん)~その2~


 家の主人は、お坊さまに向かってこんなことを語りました。

「先ほど下男たちがお坊さまのことを見て、『鬼がやって来た!!』とさわいだのは、

とある理由があってのことです。この辺りには世にも不思議な話があります。

信じられないような、あやしく恐ろしい話ですが、もしも機会があれば、

世の中の人々にも語り伝えていただきたく存じます。


この村の上の山に、一つのお寺がございます。

もともとは小山氏(今の栃木県小山市を治めていた名門武士)のご先祖様が眠る寺で、

代々徳の高いすぐれたお坊さまが住んでいらっしゃいました。

今いらっしゃるのは、たいへん有名な方の甥にあたる人で、学問の知識も深く、

修行も積まれたという評判で、この土地の者はお布施をささげ運んで、

その素晴らしさに心から敬いの気持ちを持っていました。私の家にもしばしば

おいでになり、たいそう親しくさせていただいていました。


ところが、去年の春のことでした。お坊さまは北陸地方での大切な儀式に招かれて

お出かけになり、百日ほどそこに留まっておいででしたが、

その時、向こうから十二・三歳になる少年を、身の回りの世話をさせるために、

連れて帰られたのです。その少年の上品で美しく優雅な姿かたちを、

お坊さまはすっかりお気に召され、かの少年を深く愛するようになりました。

それからは、長年なさっていた仏教行事や修行も、いつのまにやら怠りがちに

なってしまったのです。


ところが、今年の四月、少年はふとした病で寝つきました。

すぐに治ると思いきや、日を追って重くなり、苦しみもだえる姿を見て、

お坊さまはたいそう心を痛め、名医を次々と呼びました。

けれども、そのかいもなく、とうとう少年は亡くなってしまったのです。

深く愛する玉のような存在を奪われ、髪にさした花を嵐に散らしてしまった

ような思い――。

泣いても涙も出ず、叫んでも声も出ず、あまりにもお嘆きのため、

お坊さまは少年を土葬にも火葬にもすることなく、その顔に頬ずりし、その手を

握りしめて過ごすうちに、とうとう気が狂ってしまわれました。

お坊さまは、少年を生きていた時と同じように抱きしめ可愛がりながら、

その肉が腐りただれていくのを惜しんで、最後には、何ということでしょうか、

肉をしゃぶり骨をなめて、ついに食べつくしてしまったのです。


寺に住む人たちは驚いて『お坊さまは鬼になってしまわれた!』

と、あわてふためいて逃げ去ってしまいました。その後お坊さまは、

夜ごと夜ごとに村に降りてきて人をおそって驚かし、

あるいは新しい墓を掘り返してなまなましい死体の肉を食べるという

すさまじいありさま――。


本当に、鬼というものは昔話には聞いていましたが、私どもは現実に目の前で、

人が鬼になるのを見たのでございます。しかし、どうしてこのあさましい行いを

止めることが出来ましょう。

私どもにはどうすることも出来ませんので、ただどの家でも日が暮れるのを

さかいにして、かたく戸じまりをして閉じこもっています。

近ごろでは、しもつけの国中にこのうわさが伝わり、

とうとう人々がこの村にやってこなくなってしまいました。


そのようなわけがありまして、私の下男たちは、お坊さまのことを、

鬼となった、かの坊さまと見まちがえたのでございます。」

と、主人は語りました。




う~む・・・(汗)
これを聞いた快庵禅師は、いかにするのか?
続きはまた明日。


*テキスト・参考文献『日本古典文学全集48 英草紙 西山物語 雨月物語 春雨物語』(小学館)


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非公開コメント

No title

青頭巾というタイトルは知っていても、
中身は知りませんでした。

美少年の稚児とぼーさん、
う~む、衆道ですね、このふたり。

どうも、このたびの坊さん、怪しいですね。

あしたが楽しみです☆

Re: No title

sadafusa様

『雨月物語』読んでいただいて、ありがとうございます!

そうなんですよ~、この話、稚児との愛欲に狂う僧侶の話なんです…(*_*;
原文だと「生きてありし日に違はず戯れつつも」って
超リアルな表現なんですが・・
一応「子供にもわかる」と銘打っているので、露骨な訳は避けてみました(笑)
プロフィール

まーさん

Author:まーさん
息子と夫と私、考え方も行動もてんでバラバラな3人で暮らしています(笑)でも仲良しです。
音楽、映画、読書が好き。芸術鑑賞、外国語、旅行も好きです。ゆ~る・じゃぱんでは、日本大好きまーさんが暮らしのに漂う日本の香り・日本文化をゆる~く綴っていきます。

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