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子供にもわかる超訳!『雨月物語~青頭巾~』その5

こんばんは。
息子を寝かせた後、これを書こうと思っていたら。
・・・自分も爆睡していました(苦笑)
あらら――次の日になっちゃったよ(謝)

さて、いよいよ佳境です(寒)


うげつものがたり       まきのご

『雨月物語』  巻之五

青頭巾
(あおずきん)~その5~



夜がふけて月が出、やみ夜が明るい月夜に変わりました。

月光は清く美しく、あたりをくまなく照らし出します。


午前0時と思われる頃、あるじの坊さまが寝室を出て、

あわただしくあちこちと何かを探し始めました。

ところが探し出せなくて、大声で、

「くそ坊主め、どこに隠れおった!ここらあたりに

おったはずだが。」

と叫び、禅師の前を、何度もなんども走り過ぎます。

ですが、ちっともその禅師を見つけることが出来ません。

本堂のほうへかけてゆくかと思えば、庭を走りまわり、

狂ったように跳びはねていましたが、とうとう疲れきって

たおれ伏したまま起き上がることはありませんでした。


夜が明けて朝日が差し出ると、何と禅師は元いたところに変わらず

いるではありませんか。それを見てあるじの坊さまは、

酒の酔いからさめたように、ただあきれ果てた様子でぼう然として

口もきかず、ぐったりと柱にもたれかかって長いため息をつき、

押し黙ってすわっていました。

 禅師はその近くにすすみ寄って、

「お坊さま、なにをお嘆きか。もし飢えていらっしゃるのであれば、

私めの肉を食って、腹を満たされよ。」

と言いました。

あるじの坊さまは聞きました。

「あなたさはま夜の間じゅう、そこにおられたのか。」

禅師は答えました。

「ここにいて眠りもしなかった。」

あるじの坊さまは言いました。

「私はあさましいことに、人の肉を好んで食べてきたが、

いまだに徳の高い坊さまの肉の味は知らない。あなたさまは、

真実の生きた仏でいらっしゃる。私のような鬼畜の暗くにごっ

た目でもって、生きた仏がこの世に来られたのを見ようとしても、

見ることはできないのは道理というものだ。

ああ、なんと尊いことだろう――。」

と、首をたれて口をつぐみました。

禅師は言いました。

「村人の語るのを聞くと、おまえはひとたび、愛情欲望のために

心を狂わせて以来、たちまちに鬼畜のような心におちこんでしまった。

このことは、あさましいともあわれとも、かつてないまれな悪い因縁である。

夜ごとに村に下りて人に害をあたえるので、土地の人々はすっかり

恐れおののいている。私はこの話を聞き、見捨てることが出来なかった。

そのためわざわざここまでまいって、おまえをさとし、もともとの善い心に

立ち返らせようとしているのだが――おまえは私の教えを聞く気があるか、どうか。」

あるじの坊さまは言いました。

「あなたさまは真実の生き仏でいらっしゃる。ここまであさましい

悪い因縁をすぐにも捨て去ることが出来る真理を、ぜひともお教え下さい。」

「おまえが聞くというのであれば、ここに来なさい。」

そういって禅師は、あるじの坊さまを、縁側の前にある平らな石の上に座らせて、

自分のかぶっていた、あおぞめの頭巾をぬいで坊さまの頭にかぶらせ、

仏教の真実を伝える証道歌(しょうどうか)の中の二句をおさずけになりました。

 

  江月照松風吹(こうげつてらししょうふうふく)


  永夜清宵何所為(えいやせいしょうなんのしょいぞ)

 

  ―秋の澄んだ月は川の水を照らし、松を吹く風はさわやかである

  ―この永い夜、清らかな夜の景色は何のためにあるか。 

      それは、何のためでもなくただ天然自然にそうなのである。



「おまえはこの場を動かず、じっくりとこの句の本当の意味を考えぬくのだ。

本当の意味が理解できたその時、おまえは自然と、自分にもともとそなわっていた

仏の心にめぐりあうだろう。」

このように懇切ていねいに教えさとして、禅師は山を下りられました。


そののちは、村人たちも恐ろしい危害にあうことはなくなりましたが、

やはり山上の坊さまが生きているのか死んでいるのかもわからず、どうなっているのか

と疑いおそれて、人々はみな、山へ登り寺へ近づくことはあいならぬと、

いましめあっていました。




鬼畜と化した法師の濁った眼には、悟りを開いた僧侶の姿は見えなかったのですね。
いよいよクライマックス。
あるじの法師はその後いかに・・・

続きはまた明日。


*テキスト・参考文献『日本古典文学全集48 英草紙 西山物語 雨月物語 春雨物語』(小学館)



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非公開コメント

面白いですね。というか、怖いです。

こんにちは!

荒れ果てたお寺で、お坊さんが、という設定が怖いです~。そう言えば、夜更けの神社(行きませんけれどね)が妙に怖いとか、本来は取り替えられているべき古いお札が妙に禍々しいとか・・・ちょっとそれに通じる怖さがありますね~

続きを楽しみにしています。

Re: 面白いですね。というか、怖いです。

Arianeさま

『雨月物語』読んでいただいて、ありがとうございます(^^)
ウレシイです!!

いやはやこの話、ホントに怖いですよね(汗)
Arianeさんのおっしゃる通り、荒れ寺、夜の神社、妙なお札って・・・う~む、恐ろしい。

いよいよ次回、クライマックスですので、ぜひぜひ読んでいただきたく・・・
最後が凄いんですよ、これがまた(笑)
余韻が…(ネタバレ(*_*;)

プロフィール

まーさん

Author:まーさん
息子と夫と私、考え方も行動もてんでバラバラな3人で暮らしています(笑)でも仲良しです。
音楽、映画、読書が好き。芸術鑑賞、外国語、旅行も好きです。ゆ~る・じゃぱんでは、日本大好きまーさんが暮らしのに漂う日本の香り・日本文化をゆる~く綴っていきます。

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