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まーさん超訳『平家物語~敦盛最期~』その二

源氏方の武将・熊谷直実は、
年の頃十六・七の、高貴な美しい武者を討ち取ろうとしますが、・・・


続きに参りたいと思います。




『平家物語』巻第九「敦盛最期」その二



熊谷は、

「ああ、いかにも立派な大将軍であることよ――

この人一人を討ちたてまつったとしても、負けるはずの戦さに勝つわけでもない。

また逆に、討ちたてまつらなかったとしても、

勝つはずの戦さに負けるわけでもない・・・。

我が息子、小二郎が軽いけがを負ったのをさえ、この直実は辛く思っているのに、

この殿の父が『我が子が討たれた』と聞いたら、どれ程お嘆きになることだろう。

ああ、この殿をお助け申したい・・・。」

と思って、後方をさっと見ると、味方の土肥・梶原の二人が、

五十騎ほどでやって来る。


熊谷が、涙をおさえて申すには、

「あなたをお助け申そうとは存じますけれども、周囲にはわが軍の軍兵が雲霞のごとく

おります。ですからあなたは、決して逃げ切ることはお出来にならないでしょう。

ほかの者の手におかけするより、同じことならばこの直実がお手を下して、

その後はあなたの後世のご供養をいたしたいと存じます。」

と申し上げる。すると若き武者は、

「ただ、早く、はやく首を取れ!!」

とおっしゃる。


熊谷は、あまりにかわいそうで、どこに刀を刺したらいいかも分からず、

目の前が真っ暗になり、分別心もすっかり失い、前後も分からないように思われた。


けれども、そうしてばかりもいられないので、

泣く泣く若武者の首を斬ってしまったのであった・・・。


「ああ、弓矢を取る身ほど残念なものはない――。武芸の家に生まれなければ、

どうしてこのような辛い目に会うことがあろう。

なんと情けなくも、このような若い殿を討ち奉ったものよ――」

と、尽きることなく恨みごとを言い、袖を顔に押し当てて、さめざめと泣いていた。





やむに已まれぬ状況で、不本意ながら若武者の首を取った熊谷。

さて、次回は、いよいよクライマックス。

「青葉の笛」がいかなるものか、秘密が明かされます。

皆さま、こうご期待。




*参考文献『日本古典文学全集29・30 平家物語』(小学館)



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No title

人情を感じる話ですよね~。
敦盛が幼かったというイメージだけが残っていたのですが、こうやって読み直してみると、親子の情とか、いろんなものが見えてきますね。
続き、楽しみにしていますv

争うことの「不毛」

まーさん様

時代がどれほど移り変わろうと、人の本質的なモノは決して変わることはありません。

喜怒哀楽の情、親子の想い、争うことの不毛さ、様々な観念的な価値観、これらはいつの時代であろうと普遍的なモノであろうと考えられます。
それは、鎌倉時代であろうと、先の大戦の時代であろうと、現在を生きる私達の時代であろうと同じであると思われます。

時代と共に繰り返される、悪しき「人の性」、どう断ち切るかは、これも人の英知に内包されているはずですが・・・。

Re: 争うことの「不毛」

ハゼドン様

「あはれ、弓矢とる身ほど口惜しかりけるものはなし。」
まさに、争うことの「不毛」を感じ取った、直実の心の叫びを感じます。

「繰り返される歴史」をどうとらえるか。
「普遍的な感情・思想」に何を見出すか。

「古典文学」は古びた書物でなく、人間にとっての普遍的なテーマを常に突きつけてくる、いわば永遠の書なのですね。




Re: No title

くるみ様

同じ年頃の息子を持つ、熊谷直実の苦悩が、我がことのように伝わってきます。

直実は勇猛果敢というだけでなく、非常に繊細な心を持つ武将として描かれていますね。
史実はどうあれ、こうした描写が、我々日本人の心をとらえてきたのだと思います。

次回、いよいよ最終回になります(^^)



プロフィール

まーさん

Author:まーさん
息子と夫と私、考え方も行動もてんでバラバラな3人で暮らしています(笑)でも仲良しです。
音楽、映画、読書が好き。芸術鑑賞、外国語、旅行も好きです。ゆ~る・じゃぱんでは、日本大好きまーさんが暮らしのに漂う日本の香り・日本文化をゆる~く綴っていきます。

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