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おぼしき事言はぬは

台風18号の影響が、全国に広がっております。
皆さまが、何事もなく無事に過ごされますことを、
お祈りいたします。



さて、まーさんが「野分(台風)」で真っ先に思い出しますのが、
『徒然草』でございます。

えっ?『枕草子』『源氏物語』じゃないの??
という声が聞こえてきそうですね。

しかし、高校時代に勉強した『徒然草』の記述が、
まーさんにとっては非常に印象深く、
実は野分の描写はほんの少しなのですが、
その後に続く兼好の見解が思わず頷いてしまうもので、
今でも折に触れ、思い出すのです。

暴風の戸外を横目に見ながら、ちょっとこの『徒然草』第十九段、
引用してみたいと思います。


『徒然草』 第十九段

折節のうつりかはるこそ、ものごとにあはれなれ。
(中略)又、野分の朝こそをかしけれ。
言ひつづくれば、みな源氏物語・枕草子などにことふりにたれど、
同じ事、又今さらに言はじとにもあらず。
おぼしき事言はぬは、腹ふくるるわざなれば、筆にまかせつつ、
あぢきなきすさびにて、かつ破り捨つべき物なれば、人の見るべきにもあらず。



<現代語訳>
季節の移りかわるさまは、なにごとにつけても情趣深いものである。
(中略)また、野分のあくる朝の有様は、まことに興趣のあるものである。
このように言いつづけると、みな『源氏物語』や『枕草子』などに、
言いふるされてしまっていることであるが、同じことを、
またこと新しく言うまいと思っているのでもない。
胸にたまっていることを言わないのは、腹のふくれる思いのすることであるから、
筆にまかせながら書く、つまらない慰みごとであって、書くいっぽうから
破って捨てるはずのものだから、人が見る価値のあるものでもない。




「おぼしき事言はぬは、腹ふくるるわざなれば」
ここです!!ここに当時高校生のまーさんは、非常に共感し、
”我が意を得たり“の感を持ったわけであります。
もちろん、今でもこの感覚は持ち続けています。



自分の書いていること、言っていることのほとんどは、
すでに先人の言い尽くしていること――つまり「今さら」なわけです。
しかし人は、心に浮かんだ思いや感動を、どうしても表現せずには
いられない――



先行文学に言い尽くされていることを、再び繰り返すおのれの有様を、
「分かってるけどね、言いたいことを言わないのは鬱屈が溜まるからさあ」
「人に見せられる代物じゃないけど、筆にまかせて書いているってわけ」
と、言い訳めいたことを書く兼好の人間臭さに、妙に親近感を覚え、
「そうそう、そうなんだよねえ」
と頷いてしまうわけであります・・・



人間が抱く思いや感動は、時代や環境、あるいは人種を超えても変わらないことを、
書物は教えてくれます。
しかし同時に、似たような経験でも、各人の心のフィルターを通して見えたものは、
やはり少しずつ異なっていることを教えてもくれるのです。



例えば、「リンゴ」という言葉を聞いた時、人々の脳裏に浮かぶイメージは
それこそ十人十色です。赤リンゴを思い浮かべる人に青リンゴを思い浮かべる人、
青森を思い出す人、長野を思い出す人、リンゴにまつわる特別なイメージが
浮かぶ人・・・
同じ言葉を聞いてもその背景には、全く違うドラマが展開するわけです。

そこにまーさんは、言葉の虚無性も感じますし、
逆に言葉の限りない創造性も感じます。

バベルの塔じゃありませんが(いや、たとえ同言語であっても)、人間同士は、
言葉というツールで、全く同じイメージや価値観を共有することはできません。
つまりこれが、人間の根源的な孤独の源だと思うわけです。

しかしそれは、両刃の剣でもあります。
つまり、だからこそ我々一人一人の心に広がる宇宙は、唯一無二のものであり、
人の心は代替不可能な、完璧な独立した世界なのだという証明にもなると思うのです。
限りない自己肯定観と、他者尊重の意識――私が全てであり、全てが私であるという
無限の広がりと創造を感じることが出来るのです。



大分話はそれましたが・・・
ほんと「つれづれなるままに」ですな(笑)

ともかく「おぼしき事言はぬは、腹ふくるるわざなれば」ですよ!

だからまーさんも、当ブログで「筆にまかせつつ」
アウトプットを繰り返しているわけであります(爆)

IMG_0816_convert_20130910094348.jpg
明日はこんな天気になるでしょうか・・・


*参考文献『日本古典文学全集27 方丈記 徒然草 正法眼蔵随聞記 歎異抄』
                               (小学館)




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No title

物言わぬは腹ふくるるわざ、
わたくしも、高校生のとき、「げにげに!」と
妙に納得しましたね。

今日の、まーさんの考察は、哲学的ですね~
すばらしい。

確かに、伝達機能として、「言葉」は限界があり、それをすべて
人に伝えるのは、不可能であります。

そういうツールとしての、限界はありますが、
また、人間とても、感受性の豊かな人、そうじゃない人と
いろいろいますから、仕方がないことかな、と思います。

同じく、徒然草12段の「同じ心ならん人と」
というのも、わたくしにとっては印象深く、
兼好のように、日記に思いのたけを書き散らすならば
ともかくとして、

「物言わぬは腹ふくるる心地」なれど、
やはり、物言う相手も選ぶわけですね。

誰とでも話せばいいというものでもない。

同じような価値観を持つ人となら、
たわいのないお話も楽しいものになる、

兼好サンって、表現力ありますね☆

No title

徒然草、好みです〜。
周りの女子が皆枕草子や源氏物語に心惹かれる中、私は吉田兼好や松尾芭蕉といったおじさん好みでしたσ(^_^;)

それにしても高校の時に勉強されたことをここまで覚えていらっしゃるとは素晴らしいですね。私は、「スイミー、レオレオニ」どまりの記憶力です(笑)

Re: No title

sadafusa様

sadafusa様もやはり、第十九段
印象に残ってらしたんですね。

> 今日の、まーさんの考察は、哲学的ですね~
> すばらしい。

ありがとうございます!!
そういっていただけると、とても嬉しいデス^^

> 誰とでも話せばいいというものでもない。
> 同じような価値観を持つ人となら、
> たわいのないお話も楽しいものになる、

って、ホントその通りだなあ、と思います。
ワタクシも、ブログ始めるまで、
「おぼしき事」で「腹ふくるる」状態で、
助けて~~と思っていました(笑)
今は、こうしてアウトプットすると、
同じような価値観を持つ方々から
時にはお返事がいただけたりして、
日々がとても楽しく、楽になりました。

Re: No title

凛様

凛様は以前にも『徒然草』とか松尾芭蕉とかがお好みだと、
仰っていましたね~~
『徒然』はワタクシも好きで、文庫本を買っていつも読んでました(笑)

「スイミー、レオレオニ」覚えていらっしゃるとは!
ワタクシよりも、凛様のほうがずっとずっと
記憶力が優れてらっしゃいますね~~(@_@)

「スイミー、レオレオ二 さく え たにかわしゅんたろう やく」
は、息子の音読の宿題でさんざん聞かされて、
頭にこびりついてしまいました(爆)


プロフィール

まーさん

Author:まーさん
息子と夫と私、考え方も行動もてんでバラバラな3人で暮らしています(笑)でも仲良しです。
音楽、映画、読書が好き。芸術鑑賞、外国語、旅行も好きです。ゆ~る・じゃぱんでは、日本大好きまーさんが暮らしのに漂う日本の香り・日本文化をゆる~く綴っていきます。

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